■2017/12/29〜2018/1/4は冬休みで沖縄。

■gocoupのシングルは2018年に持ち越し。

■こちらもぜひ。
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■初秋の午餐。東の都のフレンチ。フルコース四軒。半蔵商店。(eins)


■フランス料理、というものを食べたことがなかったのですね。


■口にしたこと自体は、あるにはあります。出席した結婚式の披露宴でコースが出てきたりはしますからね。ただ、みずからの積極的な選択としてフランス料理の店に行く、という経験はこれまでの人生では全くなかった。ナッシング。そういう意味では「食べたことがない」のです。

子供の頃からしばしば雑誌や漫画やテレビや映画で見かける、あのフランス料理。磨かれた銀のカトラリーと真っ白な皿と。清潔なテーブルクロス、余白たっぷりの盛り付け、ソムリエが選ぶワイン、変な横文字のメニュー、たっかい勘定書き。そういうものがあるということは知ってはいる。でも食べたことはない。

まあ、高そうだしねえ、実際に高いしねえ…。そもそも食べに行く理由も、きっかけも、とくにない。とりたてて忌避している訳でもない。憧れがないわけでもない。でも、食べなくても困らない。フジテレビを見なくても生きてはいける、というのはバブル期の河田町のキャッチコピーですが、フランス料理を食べなくても生きてはいける。死にはしない。

そんなわけで、「縁がない」、という名前のフォルダに、フランス料理は突っ込まれたままになっております、長年。


■ですがこの夏、唐突に、「フランス料理ってもんを食べに行ってやろう」と思っちゃいました。思っちゃったんだからしょうがない。

思った理由は、単におれが食べるのが好きだから。

そして、なんつーか……この人生で「縁がないフォルダ」に突っ込んだままになってるものを、ひとつくらいは試してみてもいいのではないか、と思ったんですね。

あえて縁のないものを試す。こういうのも、ね、たまにはやってみても悪くないんじゃなかろうか、と。

やみくもに見聞を広げよう広げようとする姿勢が必ずしも良い物だとは全然思いませんが、とはいえ、ことさらに見聞を広げないでおこう広げないでおこうと心がける必要もないですしね。

あと、町にこんだけフランス料理店があるんだからさ、フレンチをちょっと食べたくらいで誰かに怒られたりはすることもないであろう、と。


■そういったことをぐるぐると考えつつ、この八月の夏休み、おフランス料理おフルコースを食べに行くことにしました。

↑うん、だから、まずこの「お」がダメだよね。対象を茶化している。茶化せば相手に一太刀あびせられるとでも思っている。距離をおいて、安全圏に引きこもって自分を守ろうとしている。あざとい一言を発すれば、なぜか優位に立てると思っている。物事の本質に向き合っていない。いまいる場所から一歩も動かずに、なにかを得ようとしている。

そういったおれの性根をたたき直すためにも、やはりフレンチのフルコースを食べないといけません。

しかし、フレンチ一軒に行ったところで、何かが分かるでもなし。二軒は行きましょう。いや、二軒も少ないかな。ここはいっそ、どーんと三軒?


■結果、気づいたら、この夏休みは四軒のフレンチでフルコースを食べておりました。おれの今年の夏休みは六日間。つまり、六日のうち四日はフルコースを食べている。フルコースを食べてない日のほうが少ない、という、いささか贅沢な夏休みとなりました。「なりました」って、おれが意識的にそうしたわけだけど。

ええ、四軒ともすべて一人で行きました。一人でフルコースを食べるのはどうなんだ、というのは世論が分かれるところですが、そこを論ずるのは拙僧の手に余るし、本稿の本題でもないので割愛。

ちなみに、四軒ともすべてランチです。単純に、夜より昼のほうが値段が安いから。あと、一人でディナーのフルコースを食べるのはちょっと抵抗があったからです。そう感じてしまうのはなぜか。

ランチだったらさ、男一人でややこしいものを食ったところで、しょせんは昼メシ、という気楽さのようなものがある。その気楽さが、なぜかディナーにはないように感じられてしまう。なんでなんだろう。不思議だよな。昼か夜かってだけなのに。まあ、そこらへんも本稿の本題ではないので割愛。


■ということで、次回はおれが訪れた四軒のフレンチについて書きます。後〜半へつづく!(←キートン山田のほうでお願いします)。