■2017/12/29〜2018/1/4は冬休みで沖縄。

■gocoupのシングルは2018年に持ち越し。

■こちらもぜひ。
https://soundcloud.com/hanzo_tv/

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■泡を飲みながら助六を待つ 芸術祭十月大歌舞伎 夜の部 10/6


桟敷席


■十月の木挽町。十月、ということは、あの菊之助の『マハーバーラタ』から一年たったのか。まったく、時の流れというものは、別に早くも遅くも何ともない。拙僧がのうのうと生きてるだけのことであります。マハーバーラタを見た日は菊之助に感化されて、カップ焼きそばに、付属のソースではなくインドカレーをかけて食べた記憶がある。

──なにをどう感化されてんだよおまえは(゚д゚ ) (゚д゚ ) (゚д゚ )


■つーことで今年十月歌舞伎座夜の部。すいませんが桟敷席。たまの贅沢です。『宮島のだんまり』。いつも書いてることですが、だんまりってのは、「キュートン」のポージング芸の元祖ですね。しかしキュートンってメンバー内の収入格差がすごそうですね。


■で、勘九郎、玉三郎、巳之助、という過渡期っぽいメンツの『吉野山』、桜の季節のふんわりした感じがよく出てて。


■幕間に小豆のアイス最中食べて、ロビーでスパークリングワイン五百円を調達して、さて『助六』。助六があるから桟敷席なのだ。この芝居は、なんつーか時間の流れ方がとても好きだ。芝居の中の時間軸と、現実の客席の時間軸がないまぜになっているような気がしてくるというかなんというか……。とにかく、芝居の中にいるような気がして、その居心地が良い。役者との距離が近い花道近くの桟敷席ならなおさらだ。

そんなのは単なる錯覚なんだけど、その錯覚が大事なのであって。


■夜回りの若い衆の金棒の音に気分が高揚している自分に気づく。花魁道中を眺めつつ、プラスチックのグラスに入った泡を飲みながら助六を待つ。

仁左衛門74歳の助六は、堂々としてて、たおやかでね。ちょっと気品のようなものも感じさせて。海老蔵とはまた違った助六。身体の動き、という点では、年齢を感じさせる部分もまったくないわけではなかった。けど、この助六は、トータルなあれで鑑賞するべきものだから。それと、歌舞伎は別に体操競技ではない。


■七之助もいいけど、児太郎もよかった。'10年4月の先代歌舞伎座『実録先代萩』で、「かしこまりました」というあまり上手くない声の腰元からはまったく想像できない立派な白玉。

意休はちょっとカタい、くゎんぺら門兵衛はちょっとコワい印象。福山かつぎは修行中。巳之助の朝顔仙平は、どことなくカタいというか、ピリついたところがあるものの、ばっちりはまってましたね。

彌十郎の通人は…………正直に云うと、まあクサいよね笑。股くぐりの時、彌十郎の前に
亀蔵が滑稽な役で出るから、それとの差別化のためにクサくしてみたってのもあるんだろうけど。


■そう、仁左衛門の助六に、玉三郎の揚巻、じゃなくて母・満江なんですね。ここら辺が、過渡期というか世代交代というか時代の流れというか。そんで玉三郎、満江もちゃんと上手い。芝居を引き締める。もう百回くらいやってるのかって感じだけど、初役だって。


■白酒売りの勘九郎は、滑稽みを盛りすぎかなみたいなとこもあったりするんだけど、でも上手くて、そして声がやはり勘三郎を思い出させます。幕間のイヤホンガイドで解説の人が、勘三郎は60になったら助六を演るつもりだった、と云ってました。


■全体的には、なんかカドが取れたオトナの助六に仕上がってましたね。どうも仁左衛門の「助六卒業式」、みたいな気分もちょっと漂っていたんじゃないか、と思ったりする。





■で、帰ってから、辨松の赤飯弁当を食べました。というのも、開演前に買って桟敷席に持ち込んだのに、劇場ではなぜかお腹が空かず、食べるタイミングを逃しちゃったので。笑

しかし、いったいどうすれば辨松の弁当箱から赤飯の粒を残さずきれいに食べ終えることができるのだろうか。今後のわれわれ人類に突きつけられた喫緊の課題ではある。